12/28/2013

iOS版かまいたちの夜をやってみました

かまいたちの夜といえばスーファミ版、PS版をプレイしました。少し前にiOS版が出たのでそれはそれで気になっていたのですが、いずれそのうちと思いつつ購入には至らないままでした。が、今回キャンペーン中で500円と安価であったことと、写真や音楽を新たに作り直されたと言うことを今更知って(後者の理由の方が大きい)遂に購入。(Android版も同様にキャンペーン中ですが私が購入したのがiOS版なので以下ではiOS版と表記します)
かまいたちの夜のiOS版Android版

まだ一人目の死体が出て来たところまでですがざっと感想を。
映画をキャストを変え、設定をアレンジして新たに作るのをリメイクと言いますが、これもサウンドのベルの移植ではなくてリメイクという感じ。背景、音だけでなくテキストもその表示方法も変わっていて、そのため読み進めるリズムも自ずと変わってきます。もともと今回のコンセプトが現在、流行しつつある電子書籍の進化形としての提示ということのようです。電子書籍がテキストのみであることに対して背景画やSEが入った選択肢付きのインタラクティブな読み物といったところでしょうか。
大きな違いとしてはこれはすでに各所で言われているように、青シルエットがなくなって背景画のみとなったことでしょう。その撮り直された背景画はより写実的になっています。が、しかしこれは好みが分かれるところではないかと思います。オリジナルははっきり見せることなく、画にそれっぽいエフェクトを加えることで想像力に訴えて怖さを演出していましたが(当時のマシンスペックも理由だったでしょう)今回は良くも悪くも現実そのまま。これは映画「ホビット」のハイフレームレート上映を見たときにも感じましたが、あまり表現をリアルの方向に振ってしまうと作品の持つ世界観やフィクション感が薄れてしまうように感じました。個人的にはオリジナルの画のタッチが好ましく感じます。

また、テキストの表示方法も変わったと書きましたが、今回は端末縦置きの画面に一気に数画面文の横書きテキストが表示され、自分で指でスクロールさせて読み進めます。文末まで読んだら画面をタップして次の表示へ、すると、またある程度の量のテキストが一気に表示・・・と基本的にはこの繰り返しです。オリジナルはテキストがテレビの一画面分を考えて作られていて、話の進行や表示リズム自体が演出となっていました。ためるところはためて気を持たせてから次を見せたり、一気にスパっとある単語を表示したり。
オリジナル版の進行方法が身に染みついている身からするとiOS版は先の展開が目に入りすぎてしまい、時間の進行が早く感じるというか、DVDを倍速再生で見ているような感じがあります。こういう違うデバイスで違う表示方法で見るとオリジナル版が如何にテレビ画面で見せることに最適化されたかが却ってわかります。
ただ、iOS版、表示に待たされることは全く(今のところ)ないのでこれはチューニングを頑張った結果なのではないかと思います。表示法だけでなくテキストの内容にも変更が加えられていて、今までもテレビドラマの話などはその時々の流行を取り入れていましたが今回は設定自体も色々と変更。今や携帯電話は誰もが持っていますし、写真はデジカメでなくて携帯電話で撮る人が圧倒的多数。そんな時代の変化を感じます。

音も録り直されたとのことで効果音はよりそれっぽくなっています。まだ例の悲鳴は聞いていませんがちょっと楽しみ。音楽もアレンジが変わったりしていますがこれまた好みの問題でしょう。個人的にはオリジナル版の方が良いように感じつつプレイしていました。が、途中で気付いたのはこれは曲のアレンジが変わったことのみが理由の印象ではなくて、オリジナル版はテキストの出るタイミングと曲の始まるタイミングなども計算されていたので特定の単語や表現が出たときに曲が始まる、なんてことが出来たんですよね。今回は何しろテキストはまとまって一度に表示されて読者が今どこを読んでいるかは読者次第なので、いまいち気持ちよいタイミングで曲が来ないのです。そのあたりにも起因するのではないかと。とは言っても音のクオリティはかなり高いですので私はせっかくならとこんな環境で遊ぶことにしました。



なにぶん、まだ途中までのプレイなので何かのきっかけで評価が変わることがあるかもしれませんが、かつて遊んだかまいたちの夜をスマートフォンで遊ぼうとすると違うところにばかり目が向いてしまうようで、これはもう冒頭に書いたようにリメイクと考えて楽しむのがただいいと思います。原体験がどちらにあるかというのもあるでしょうから初プレイの人が先にiOS版をやったら、オリジナル版の評価はまた違ったものになるかもしれません。個人的には移植版が出たらまた買ってしまうでしょう。違いはどうあれスマートフォンでかまいたちの夜がプレイできるようになったことはとても大きいことです。

そうそう、私的神ゲームの一つ、428も今回のキャンペーンで安く購入できます。私、これは最初にWiiで出たときに買い、PS3版が出たときにはHD解像度の静止画と5.1サウンドで遊びたかったためにまた買い、iOS版が出たときには飛行機に乗るときなどに遊ぶときのために買い、と3プラットフォーム分買いました。こちらは移植なのでiOS版も基本的には演出や内容は他のものと一緒です。そう来たか〜!という山の作り方や、続きが気になる展開、伏線が回収される快感などかなり気持ちよく楽しんで進められると思います。未体験の方はこの機会に是非どうぞ。
428のiOS版Android版

12/22/2013

BlackBerry Q5を購入

BlackBerry Q5を遂に購入。初BlackBerryです。

思い起こせば最初のスマートフォンであるTouch Diamondを手にして以来ずっとタッチスクリーンからの文字入力にはストレスを抱え続け、ミスタイプに気付かず文章を打ち続け、後で気付いて修正・・・しようにも矢印キーがなかったりすると正しい位置にカーソルを移動させるのがまたストレス。
その間、Bluetooth接続できるコンパクトなテンキーがないかとか色々探しつつも自分がタッチスクリーンに慣れるしかないかと諦めかけ、BlackBerryの存在は知っていたのですが、アメリカ人があの大きな手でちまちまと文字を入力しているというイメージで、よくやりづらくないなぁ、と。

転機が訪れたのはある日、あるバーに一人で行ったらたまたま隣に座っていた方がBlackBerryを持っていて、ちょっと触らせてもらったところ何とまぁ文字の打ちやすいこと。小ささなんて全く問題ではありませんでした。が、BlackBerryを使うにはBlackBerry社(旧RIM)とBISというインターネット契約を結ばねばならずこれを日本で扱っているのはドコモのみ。しかもFOMA契約のオプション扱い。(後にXiでも可能になりました)つまり色々と敷居が高い。

そうこうして何となく欲求を抑えつけ、忘れかけ、そんな中でふとアメリカのTVシリーズを見ると政府筋の役の人がBlackBerry端末を使っていてそこでまた所有欲上昇、と、そんな周期をここ数年送っておりました。

が、先日何気なくネットを見ていたら最新のOS、BlackBerry10ではBIS契約がいらなくなったとのこと。ほ、ほ、欲しい。

しかしこの二年ですでに電話を三台買い換えている身にはそれホントに必要なわけ? と自問自答すること一ヶ月。ついに物欲に負けての購入。まぁ、購入ページを一ヶ月前にブックマークした時点で勝負は決まっていたという気もしなくはありません。ヤマトの国際荷物のトラッキングで徐々に自分の家に近づいてくる様を何度も何度も何度も確認しながらオーダーしてから三日後に到着。早いなぁ。


冷静に考えるとUIの使い勝手はAndroidがウィジェットを置ける分だけ私にとっては上でして、iOSと比べてもあちらは何をするにも複数回のタップを余儀なくされるのでこれら3つのOSではAndroidが(私にとっては)ベストです。Androidはやりたいことが最短ステップで行えますから。しかし、文字入力のしやすさは圧倒的にBlackBerryの勝ち。
現状、日本語入力は出来ないのでメイン機とはなり得ませんが、短いメッセージのやりとりだったら英語でもローマ字でも(送りつけられた方は迷惑かもですが)意思の疎通は出来ますしね。
来年に来ると言われているアップデートで日本語入力が可能になるとの噂もあるのでそうしたらさらに好感度アップ。バッテリーもかなり保ちますね。今までのスマートフォンだったら一日保つかどうかの使い方をしてもこのQ5は二日は保ちそうです。


今年の自分的三大ベストバイのうちの一つはこれに決定です。

11/25/2013

Wonder Pad ~折りたたんで持ち運ぶマット~

マジックショップ、King of MagicからWonder Padというマットが販売されています。
詳しくはここを見て頂くとして、簡単に言えば折りたためるクロースアップマット。
マットと言ってもそこそこの厚みがあり、これはコインや指輪、輪ゴムなどの
収納スペースを設けているためです。
つまりこれだけを持ち歩けば最低限の演技は出来ることになります。
最低限と書いたのはパケットは入るけどデックは入らないという収納スペースの
制約があるためですがここはコンパクトさとのトレードオフがあるので
ジャケットの胸ポケットに入ることを狙うとこのあたりが妥当な厚みとなるのでしょう。
このマットが威力を発揮するのは1つはテーブルホップのときだと思います。
テーブルホップでマットを持ち歩きたいかというのは様々な意見があるでしょう。
テーブルを極力使わない演目で、という考えも1つの考えだと思います。
が、雰囲気という点でマットを広げるだけでそこを非日常の空間と
イメージさせることもできメリットも少なくありません。

このマットを手にして、ふと紹介動画的なものを(勝手に)作ってみようと思い立ち
寝る前にカット割りとかカメラアングルとか脳内コンテを作っていたのですが
一夜明け、目覚めたらすっかりコンテが失われていました。
おかしいなぁ。確かにコンテは完成していたはずなのに。

そんなわけで翌日は昼間、空いていたこともありゼロから考え直して撮影。
動画を見ていただければわかりますがスリーボールを演じるときに
テーブルの上だとボールが転がってしまうのですがこのマットがあると転がりません。
広さ的にはコインのアセンブリなどは難しいでしょう。
動画中のコインの移動は、あれ、カメラのフレーム内で演技を収めるのが
毎回、案外難しいのです。コインを上に投げてキャッチするので本当はもっと
高さが必要なのですが、まぁ、今回もフレームの外に出てしまってますが、
20テイク以上撮った中から選んだ1つです。
もっとカメラを引けばいいのでしょうけど、全体の画のバランス的には
これくらいが引ける限界だろうなと。そんな次第で他に気が行っちゃってるのが
どうしても画に出てしまってますがこのあたりで力尽きました・・・。
全体をつないでみて、どうしても画にならないとか、合わないと感じた
シーンを捨て(それはそれで20テイクくらい頑張ったのですが)、
BGMとカットのポイントを微調整してバージョン1とも言うべきものが出来たのが
数時間後、それで完成と思ったら見返すうちに気に入らない部分があり
それらを撮り直して、再度、BGMとのタイミングを合わせ直し、
YouTubeにアップロードしてやっと完成・・・、と思ったらカメラの
角度を直したい箇所を発見し、それはマジック的な失敗ではないのですが
画のリズムとしてはどうしても直したくなって再度の撮り直し。

と、気づけばバージョン1を作るまでと同じくらいの追加時間が経っていました。
で、完成したのがこちらです。




【2013/11/25/11:23追記】
勝手に作った動画でしたが本家のKing of Magicの商品紹介ページ
紹介動画として使用されることになりました。
アンオフィシャルからオフィシャルに昇格

11/22/2013

新しいプロモーションビデオ

少し前にうっかり1TBのHDDをフォーマットしてしまい、
過去の素材や作業データを失った。
大抵がSD解像度のデータだったので、素材と言っても新しくPVなどを
作るにしても使うのには抵抗があるし、ということは次に作るときは
素材をそっくり撮り直しになるということがハードルとして立ちふさがっていた。

が、何しろすっかりデータがなくなったのでこれを期に新たにPVを作ってみた。
手元のアップを多様で、一見、何をやっているのかよくわからないと思うけども
こんなのが一つあってもいいなぁ、と思っていたので制作。
もっとも撮り直したのはジャケットを着るところ。
あそこだけで、20テイク以上。
それに比べてカードのカラーチェンジ(トランプの表の絵柄が変わるところ)は
確か4テイクくらい。
見えてはいけないものが見えてしまうとかそういうことではなくて
リズムとか止めとか、カメラアングルのちょっとしたところとか
そういうのが気に入らなくて撮り直すことの方が多いので
おそらく見ている人にはあまり違いはわからなくて
かなり自己満足度の高い世界。・・・のような気がする。
しかし、こういう細部へのしつこいこだわりが個人個人の演技の色を作る。

ところで、マジックの仕事をもってきてくれる事務所からは
こういうのはあまり好まれない。
というのも、当人がどういうキャラクターでどんなマジックをするのかが
さっぱりわからないから。それはそれでもっともな話なのだが、
他のマジシャンや全くの他分野から映像の制作や編集もたのまれる身としては
一種の制作サンプルの意味も兼ねて。

11/01/2013

どうすれば不自然にならないかの議論&ピカラのぴーちゃんとツーショット

マジックのハンドリングに関してどうすれば不自然に見えないか、
どうすれば観ている人からつっこまれないか、という議論が展開されることがありますが
一転を抜き出して、ここをこうすれば・・・
みたいな物理的な技術的に解決させようとするのは
さらに言うとそれを一般化しようとするのは常々危険なことだと感じています。
演技者がそれぞれ個性が違う以上、手法を最適化しようとすればするほど、
誰にでも有効な万能手法はなかなかないですし
そのような議論は音楽の楽曲の特定の一音に関して論じるようなものだと思うのです。
しかし、一音一音は全体の流れの中で意味を持つものです。
このテーマ機会があったらもう少し書いてみます。
・・・と言って書かなかったテーマが過去にどれだけあることか。

さて、先日は前回に引き続き、今度は高松までタブレットを使ったマジックを
織り交ぜての演技を行ってきました。
さらに念願の、ぴーちゃんとのツーショットも実現。

いや~、ぴーちゃん、大きい。
ぴーちゃん、丸い。
ぴーちゃん、よちよち歩き。

もうね、本当にどこから見てもまん丸でしたよ。
演技は一日三回なのですが、二連続でご覧になる方もいらっしゃるとのことで
二回目の内容を一部変更してA-B-Aという組み合わせでの演技でした。
音響の方も前回と同じ方だったので打ち合わせもスムース、というか
ほとんどなく、安心して演技をすることが出来ました。

あまり関東圏から出ることがない私ですが何故か今年はやや離れた地から
タブレットを用いたマジックのオーダーが何件かあり、
おかげで色々なところに行くことが出来ております。
呼んでいただいた皆様、そして会場に集まっていただいたお客様、ありがとうございました。

10/25/2013

映画グランド・イリュージョンネタバレあり感想

映画「グランド・イリュージョン」、すでに日本でも劇場公開されましたので
ネタバレありの感想を書いてみます。(ネタバレなしの感想はこちら
感想と言うよりは、映画の要所要所に関してあれはああだった、こうだったと
書いているだけなので、それほど深い考察があるわけではないです。はい。

まずこの映画、伏線がストーリー上もマジックの表現上も
とても丁寧に作られていると思います。
マジックの表現上の伏線・・・と言いますか「ここであれをやった」ことにする
映像的表現が割と律儀に入っています。しかも、初見では気付きづらいように
上手に編集とカメラアングルで工夫されています。
例えば、冒頭のNYのフェリー上でスプーン曲げのやり方を見破った乗客から
腕時計をスリ取るところ、乗客の一人が隠されたスプーンを探り当てる短いカットの
積み重ねの中に一瞬だけジャックが客の腕時計に手をかけるシーンが混ざっています。

それ以外にも手錠の鍵を缶の中に入れたことを暗示するカットなどなど。
それらがきちんと、ときには別の意味を持つシーンの中に混ぜられ、
ときには編集のリズムの中に紛れ込まされていて
まさに「他に注意を引いておいて本質に目を向けさせない」というのを
地で行く編集となっています。

また、劇中で伝説のマジシャンとして語られるライオネル・シュライクですが
彼は映画の中では有名なマジシャンという位置づけで、
冒頭で映るダニエルの室内にもライオネルのポスターが貼ってあるのが
本当に一瞬だけ見えます。本当に気付きづらいですけども。

編集とカメラアングルで隠すと言う点でもう一つ、ピンポン球のすり替え。
実践的な観点で考えると一つの確実な方法を三人が使うべきところですが
映画的には三者三様のやり方の方が見栄えがしますね。
とくに半球をピンポン球に被せるというのは片手で正しい位置に入れるのは難しいし
何しろアトラスが最後に客席に投げちゃって○から本当であればリスキー過ぎます。
けど、映画的にはありな範囲でしょう。
これ、演技のシーンでは全然そんなことをせずに解説のシーンのときにだけ
すり替えの動作を演じているというよりは演技のシーンでは編集でぎりぎりのところで
見えないようにしている(と見えるように<実際はどうあれ)と感じました。
なかなかフェアかなと。

取り調べのシーンでわかりやすい伏線はメリットがディランに
父親の問題を抱えていると言うところ。これこそが動機となっているわけです。
ここでのディランは正体を明かさないまま上手に話の方向をコントロールしている
第五のホースマンという役を上手に演じていると思います。

一方でわかりづらい伏線と言えば、これは最初は私も気付かなかったのですが
移動中のジェット内でアトラスがアーサーにメンタリズムを仕掛けるシーン。
あれは機内でのお遊びかと思ったら(そう思わせるようになっているのですが)、
そうではなくて、あのやりとりの中でアーサーの個人情報を手に入れて
彼の銀行口座に進入する足がかりとしていた、ということなんですね。

もう一つわかりづらいところで言えば、そもそも四人が最初に集められ、
その後、彼らのアジトとなるNYの部屋。
あれって、元々はディラン親子の部屋だったようです。
それを暗示するシーンもありましたね。気付いたでしょうか?

もちろん、本気でつっこもうと思えば「それは偶然に頼りすぎでは?」とか
「それ、どうやっても成立しないから」とか、そういう点はありますが、
観ている際はさほど気にならないレベルですし、
それをわざわざ突っつくのは野暮というものでしょう。
その意味で世界観とフィクションが上手にバランスしていると思います。

物語中で、木の幹からサインされたカードを出すマジックのエピソード、
マジックは長い時を経て準備されているというあれですが、
実際にそんなことをするマジシャンがいるのか? って話になると
マジックに詳しい人ならピンと来る名前があるはずで
実際、チャンスを見るとそこに何かを仕込み、演じる機会が訪れるまで
じっと待つ、というマジシャンが歴史上におりました。
この映画のエピソードもきっとそれが元となっているのではないかと。

最後にマジック的に気になるクレジットはこの辺でしょうかね?

この映画、続編が決定したらしいです。
続編と聞くと身構えてしまうのですが、
是非また楽しませてもらえることを期待しております。

10/13/2013

日向大祐さんのシアトリカルマジックライブ「コラージュ」

日向大祐さんのシアトリカルマジックライブ「コラージュ」を観てきました。

もう四回目の公演だそうです。日向さんにお会いするのは
クレストクラブに一緒に入っていたとき以来になると思います。
一緒と言っても同じ日に入るわけではないのでたまたま私が六本木、
日向さんが銀座のクレストクラブだったときに会って以来です。
顔の輪郭と当時の髪型が似ているのかクレストのお客様から写真を見て
「日向さん?」と間違えられることも数回ありました。
毎回否定して説明するのも面倒だったので、
今にして思えばたまには肯定しても良かったかもしれません。
さて、私も細いと言われることが多いですが、
今日、久しぶりに日向さんを見て最初に思ったのが「細っ!」でした。
で、感想ですが、まだこれからご覧になる方もいらっしゃると思いますので
内容の細部には触れないように書いてみたいと思います。
と言っても、映画や他の分野の感想を完全に観客の位置から書くのと違って
あまり偉そうなことを書くと、書きながら自分って何様? と思ってしまうのですが
そこには気付かないふりをしつつ書いてみますと、
まずはちゃんと音響、照明、映像、場内の専業スタッフを
確保してのワンマンライブを成し遂げるというのがそもそも凄いなぁと思ってしまいます。
そしてマジックは危なげな点がなく安心して見ていられます。
これ、案外重要なところで、読んでる方の中にはそれって最低限必要なレベルでは?
と感じる方もいらっしゃるでしょうが、マジックのライブにおいて、
出演者が何か新しいものをやろうとキャパを超えてしまったり
本番数日前に浮かんだアイディアを十分な準備期間なしに入れたくなったり
マジックは何とかこなせるものの余裕がないのが見ていてみんなに伝わってしまったり、と
まぁ、そんな状況に陥らせてしまう魔物がこの世界には住んでいるようなのです。
そんな中で、マジックにはしっかりと安定感があり表現したいテーマの中で
マジックが生きるように配置するという使い方は、
安心して観客として楽しむことが出来ました。
また、日向さんが一人でシーン毎に複数のキャラクターを演じ分けるのですが
声の雰囲気から話し方まできっちり演じ分けていて
このあたりは芝居の素養もあるが故なのだなぁ、と思いました。
ちなみにマジックに過剰な演出を付けてしまい演技力のキャパを超え、
学芸会チックなものになってしまうというのもありがちな罠です。
そうそう、芝居と言えば、私、中学生の頃、演劇部でした。
・・・と、無駄なアピールをしてみました。
さておき、日向さんの場合は完全な別人格を演じ分けていましたし
それが見ていて全く気恥ずかしくならない、しっかりしたものでした。
このライブはマジックショーと聞いたときに一般的にイメージするような
マジックの羅列ではなく、一つのテーマに基づいて色々なキャラクターを演じ分けながら
その中でマジックを披露していくわけです。
他でマジックを観たことがある人にとっても新鮮なマジックライブだったと思います。
最後の方でプロジェクターを(仮想的に)二面使って演じるマジックがあります。
私も何年も前から同種のテーマでのマジックを演じていて、
その後、同じテーマで数作品作り、その過程でプロジェクターをあのように使うことの
演出上のメリット、マジック的なメリットは色々と考えたことがあります。
で、今回、久々に他の人の作品を観て思考が刺激され、
ここはこうしたらどうなるのかなぁ、などと頭をよぎったのですが、
さすがにそれを書いてしまうとマジックの内容どころか
手法にまで触れてしまうのでさすがにここには書けないなぁ、と。
ご本人とお話しする機会があれば面白い思考実験になるかもしれません。
とここまで書いて、やはり例の「自分って何様?」ってフレーズが頭に浮かぶわけですが。

10/08/2013

ピカラのイベントでタブレットを使ったマジックなど

四国でインターネット、電話および放送(地域により異なる)、映像サービスを提供している
ピカラさんのイベントに呼んでいただきマジックをやってきました。
タブレットを使ったマジックを含めてのマジックというオーダーでして
ピカラのキャラクターのぴーちゃんも演技中で使うというのがご希望。

タブレットやコンピュータを使って演技の演出用の音楽や動画、
またはマジックそのものをそれらの機材を用いて行う場合、
マジックの道具はもちろんですが、機材用のケーブルなどを
忘れないように気を使います。
忘れなくて当然といえば当然なのですが
(そして勿論、忘れ物をして致命傷を負ったということもないのですが)
それでも毎回、心配なのです。
機材は用意していただく機材との相性でうまく動作しないことも
考えられるためときには複数のつなぎ方が可能になるように
アダプタやケーブルを用意することもありこれがまた
マジックの道具以上にかさがあったりして。

写真は荷造り中の図



早朝に羽田を発ち、徳島着。
現場に入るとまずは機材の動作チェック。
実際につながることが確認でき、一安心。

現場に入るときにいつも思うことですが
私は大抵、出来上がった環境に入り、
自分の演技を完了して片付けたら現場を上がってしまうことが多いです。
しかし、私が入ったときに環境が完成しているということは
それよりも何時間も前、時には前日に現場入りして
作業している方々がいるわけで、
演技終了後も、後片付け、撤去作業が残っているわけです。
そんなことを考えるとただ、ただ、感謝するばかり。
今回もとてもやりやすい環境で演技させていただきました。

この写真は演技中の写真ですが



モニター内のカードに描かれているのがピカラのキャラクターのぴーちゃん。
体長10cmで男女の区別はなく、顔が右向きというかやや傾いているのは
PikaraのPをイメージしているためだそうです。

以上、ぴーちゃん豆知識でした。

10/04/2013

映画 Now You See Me (グランド・イリュージョン)の感想

10月25日公開の映画「グランド・イリュージョン」
の感想をネタバレなしで書いてみたいと思います。
ストーリーは簡単に言えば
四人のマジシャンがマジックを使って銀行からお金を盗みます。
もう少し詳しいストーリーが知りたい方は公式サイトをどうぞ。
・・・と思ったのですが、公式サイトがFlash多用で見づらいので
ネタバレにならない程度のストーリーを追うなら
こういうページの方が良いかもしれません。

英語の原題はNow you see me
Now you see me (it), now you don't.
というのはマジシャンの決まり文句と言われていて
「はい、ありますね? ほら、消えた」のような感じです。
このままではわかりづらいってことでグランド・イリュージョンになったのでしょう。
では実際にグランド・イリュージョンという言葉がセリフ内で出てくるかというと
全然出てこなくて近いのはone giant illusionという言葉が一回。
this grand trickが一回(記憶モード)です。
ただ、これらを字幕でグランド・イリュージョンと表現するなら
この映画を象徴する語句として使うことも出来そうです。

The closer you look, the less you see.
何度も表現を変えてセリフに登場しますがこれはまさにその通りですね。
マジックを見せているとお客様から「こんなに近くで見ているのに不思議」と
言われることがあります。けど近づくと見える範囲が狭くなりますから
案外色々なものが見えなくなります。
実際にはその場合、マジックに引っかかりやすいか否かは時と場合に寄りますが、
演じる側としては「当たり」の場所を近くで見られても問題ないような技術と
少し離れて視界を広くとって見られても大丈夫な技術の両方を
身につけていないといけないわけです。

もう一つ、マジックをやっていたら覚えておくと良さそうな言い回しに
劇中でモーガン・フリーマンが言っていた・・・、
彼は私の中では日本のいかりや長介と呼ばれているのですが
(二人とも味のある良い役者さんです)、まぁ、それは置いておいて
When a magician waves his hand and says "This is where the magic is happening."
the real trick is happening somewhere else.
という表現。いわゆるミスディレクションの説明です。
何だか、英語でマジックするときに覚えておくと便利そうなどと思いました。
実はこれは(映画内の話でなくて実際の話として)ある瞬間の空間的意味だけでなく、
時間軸上の意味でもそうである場合があります。

「マジシャンが右手動かしてるときは左手が怪しいんだよねぇ」とは
私の親が私が幼少の頃から言っていましたから
もはやこの表現はマジックの知識がない人ですら知っているといえます。
しかし、巧く構築され、上手に演じられるマジックはそういう目で見ても
わからないものです。
「結果を知った上で二度目を見てもまだ不思議」
演じる側としてはそこを目指さないといけないとも言えます。

さて、映画ですが専門職を扱った映画は本職の人が見ると
苦笑しつつ見ることになる場合も少なくないとは良く聞く話ですが、
この映画に関してはマジシャン視点で観ても全くそんな点はなく、
また、種明かしというデリケートな部分に関しても
現役のマジシャンが困ったり、怒ったりすることがないように作られています。
マジックのやり方の説明は映画の中では十分に納得できる表現をしつつ
現実のマジックにはダメージを与えない上手な描き方をしています。
ときにフィクションとしての誇張はありますがその誇張は映画の世界観に
上手くはまっているため「そんなわけないだろ」などと
覚めてしまうことは全くないと思える範囲です。

映画の前半、マジックショーの中である犯罪を実行するために
デビッド・カッパーフィールドの有名なマジックが元ネタと思われるマジックを
(エンドクレジットでデビッドのマジックから
インスパイアされたと、彼の名がクレジットされています)
主人公達が演じ、後にそのやり方も解説されますが
この映画を観た後でもデビッドのマジックは褪せることなく不思議なままのはずです。

ストーリー上の伏線の張り方もとても良く出来ていて、
あとから思えばあのセリフはこれを暗示していたのかと
気持ちよく収まるべきものが収まりますし、
別の意味での伏線、ストーリー上の伏線でなくてマジック的な伏線とでも言いますか、
「あ、このカットがあのマジックを今やったという表現なんだな」
と思えるようなカットがきちんと挿入されています。
それは最初観ただけではおそらく気付けないし、
映画の中でもいちいち説明しませんから気付く人だけが気付く類のものです。
本当に上手に編集のリズムとカメラアングルで一連のシーンに馴染ませあります。
おそらく二度目を観たときに「あ~、ちゃんとここ映してたんだ!」とか
「上手くギリギリのところで隠してるなぁ」などと気付くかもしれません。

すでにあちらでは続編の制作が決まったという話も聞こえてきますが、
まずはこちらを是非劇場でご覧下さい。
私もまた観に行くと思います。

あ、褒めまくってますけど日本版予告編の
「このトリックに騙されるな」のようなコピーは好きになれません。
騙された方が楽しいと思うのですけどもね。