9/07/2015

マジックを英語で演技するに際して考えるあれこれ 1

先日、マジックバー・サプライズにいらっしゃったお客様のグループがアメリカの方を含むグループで「演技を出来たら英語で」とのことでした。そのお客様はマジックへの理解もある方でして同時に「マジックのいつものリズムが崩れるようなら日本語で構わないです」とも言っていただいたのですが、色々と気付いたり考察出来る経験でした。
そもそも私は日本国内において海外からのお客様にマジックを見せる際には特別な事情がない限りは日本語で普段通りに演じて構わないと思っています。ブログにも以前書いた記憶があります。
しかし英語で演じることを否定しているわけでもなく自分の付加価値としてとか、キャラクター性の中で英語で演じるという選択肢を持っておくのはそれはそれでありかと。もし英語で演じるのならそのスタイルはキャラクターに合っている必要はあると思います。自分の世界を作るために衣装を選び、(通常時の)日本語のセリフを造り、アクセサリーを身につけ・・・とやっているわけですから英語での演技もやるならその世界を補強するものでなくてはならないわけです。決して流ちょうに話すべきと言っているのでなく、適切なときに適切な単語をぽんと一言発するだけにしても、その人らしいやり方があると思います。

普段接している中から二人例を挙げるならまず進夢氏。本人も言っていますが英語は決して得意でなくボキャブラリーも文法知識も忘却の彼方気味で当初は適切な一言を出すにも苦労したり、ひねり出した英語表現が伝わらず、どうしてもマジックの流れを壊してしまうことが起こってました。が、一年くらい経ったあたりから適切な単語がぽんと出るようになり、また、なまじ英単語のスペルの知識がないだけに信用するのは自分の耳しかなく、音がローマ字から連想されるカタカナに引っ張られることが少ないのが功を奏して聞き返される事態もあまり起こりません。
少し前に進夢氏がマジック道具を購入されたお客様に使い方の説明をしていたのですが、その道具、手渡しの際にロックがかかる機構でしてそのあたりの説明どうするのかなと思って見ていたら「ディス イズ シークレット ボタン」。いや、凄いと思いました。実際の機構はボタンではないのですが言いたいことはちゃんと通じてました。

もう一人はオーナーの龍生氏。こちらもご本人は英語が苦手と言ってるのですが、やはり現場で培った力というか、サプライズのオープン当初よりも現在の外国人対応力はかなり高いなぁと思って見ております。勿論決して現場経験で「自然に楽して」身についたわけでなく努力もされたのでしょうし、マジックに関する英語の文献も読んでいるとのことなので、そこからマジックに使う単語や表現を吸収したというのもあるでしょう。
ですので想像するに、現場経験を経ることで英語文献などに触れたときに使えそうな単語や表現を選ぶことが出来、それをまた現場で使う事でブラッシュアップされていく、という良いスパイラルが出来ているのではないかなと。何が凄いって日本語での演技時のキャラクターとテンションが外国人の前での演技でも全く損なわれませんから。英文のセリフを終始話し続けなくても外国人相手の演技を成立させられるという好例であると思います。

さて、自分の場合はどうかというと「秋元は英語が以前から話せる」と大きな誤解を受けていますが、海外旅行で不安がない程度の力はあったものの(<何も大きなトラブルがなかったときの話)会話力とか、マジックで流れを壊さないだけの英語表現スキルがあったかというと五年前は全くありませんでした。意識して改善しようと思ったのが三年前です。
先日久しぶりに有名な文法書のForestを読んでみたのですが(実は有名であるのは後から知った)、そういう日本語を使って英語を理解、みたいな経験をすると、今でもしばらくは英語を英語として(ホント、元からそんな高くはないですけども)は理解出来ない頭の使い方に戻ってしまい復帰させるのに数週間かかりました。その意味ではまだまだ定着していませんね。通訳とか翻訳とか今やったら(いや、出来るかどうかはさておいて)この三年の積み上げは一気にリセットされてしまうんじゃないでしょうか。所詮、未だにそれくらいということです。

※上にお二人の例を書きましたが、どうしても人のスキルの感想を書くと上からの物言いのようになってしまいがちで、それは本意ではないのですが、そのように見えたとしたら私の文章力の問題です。

長くなったので、その2に続きます。

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